アレルギー疾患
主に小児のアレルギー疾患を診療しています。
小児のアレルギー疾患として食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症など幅広く診療しています。
食物アレルギーは丁寧な問診、診察と検査、経口負荷試験を組み合わせることで、必要最小限の除去を心掛けています。
アトピー性皮膚炎の治療の中心はステロイド軟膏で、症状に合わせてできるだけメリハリのある治療を心掛けています。また保湿を含めたケアが非常に大切ですので、ご家族も一緒にケア方法を学習していただいています。
アレルギー性鼻炎に対しては舌下免疫療法も行っております。
アレルギー疾患全般において、時に生活や行動に制限が必要となったり、痒み、咳、鼻汁等の症状が長く続いたり日常生活に直結することが多くなります。診療の際はできるだけわかりやすい、具体的なアドバイスを心掛けています。
呼吸器疾患
呼吸器疾患に伴う症状には、咳や痰、呼吸が苦しいなどがあります。
うまく呼吸ができないと、身体の中の酸素の量が足りなくなったり、二酸化炭素が溜まりすぎたりします。その場合は酸素投与や呼吸を助ける機械を装着することがあります。
小児科では、気管支喘息、クループ症候群、呼吸器感染症(肺炎や気管支炎など)、長引く咳、咽頭軟化症・喉頭軟化症などの呼吸器疾患を診ています。
気管支喘息の治療は、①急性期管理、②長期管理の二つに大きく分けられます。
①急性期管理
喘鳴(ゼーゼー)や呼吸困難、咳などの症状を伴った発作が起こっているときに行う治療のことです。気管支を広げる薬やステロイドを使用して症状を和らげます。
②長期管理
発作が起こっていない時に発作を起こさないようにする治療のことです。「ロイコトリエン拮抗薬」と呼ばれる薬やステロイド吸入薬などを普段から使用して、発作を起こさないようにします。
気管支鏡検査は、東京女子医科大学附属足立医療センター新生児科教授の長谷川久弥先生に来ていただき、咽頭軟化症・喉頭軟化症などの診断をしています。
呼吸器疾患に関しては、重症度の高い急性期の治療から慢性期の管理まですべてに対応できます。
循環器疾患
川崎病の急性期治療と遠隔期管理、先天性心疾患の診断と内科的治療、その他にも心雑音精査、不整脈診断、心筋症の遺伝学的診断と内科的管理、学校心臓検診の二次精密検査と運動制限を考慮した学校生活管理指導票の記載などを当院で行っています。
当院は名古屋市立大学から小児循環器外来への診療応援があり、このため小児循環器専門医が複数名で診療に当たっています。お子さまと保護者へ分かりやすい説明を心掛け、さまざまな検査や治療プランをお示しします。
時には手術治療、心臓カテーテルや経食道心エコーによる詳しい評価や治療、小児循環器集中治療などが必要となる場合も生じます。その際には近隣の高度医療機関へ紹介いたしますので、途切れることのない診療を受けていただくことが可能です。
消化器疾患
感染性腸炎や虫垂炎、炎症性腸疾患、慢性便秘など、幅広い疾患に対応し診療しています。
吐血や血便のあるお子さまは、胃・十二指腸潰瘍や、潰瘍性大腸炎・クローン病などの慢性炎症性腸疾患を考慮して、上部消化管内視鏡(胃カメラ)や下部消化管内視鏡(大腸カメラ)などの検査が必要となります。当院では、小児科と消化器内科とで連携し、小さなお子さまでも小児科医の立会いのもと、安全に検査を行うことができる施設です。(写真・経鼻内視鏡)
また外科的治療が必要な腹部疾患(虫垂炎など)についても、小児外科と連携し、速やかに対応が可能です。
内分泌疾患
ホルモンの分泌またはその標的臓器に何らかの異常を認める内分泌疾患を中心に診療をしています。
ホルモンには体内バランスを保つ役割、さらに子どもにおいては “成長・発達・成熟を促す”という大きな役割があります。
例えば、子ども特有の内分泌疾患としては成長ホルモン分泌不全性低身長症や思春期早発症などがあり、大人とも共通する疾患としては甲状腺機能異常症(バセドウ病、橋本病)、糖尿病などがあります。
そのため外来においては「身長が小さい/大きい」「体重が小さい/大きい」「二次性徴が早い/遅い」などのご相談で来ていただくことが多く、ご相談に対して問診や検査などを行ない、診断を考えます。時にはまず成長経過を見守っていくこともあります。
診断疾患に対してフォロー・治療を行うのはもちろんですが、内分泌疾患のポイントになる“成長・発達・成熟”はそれぞれであり、個人の成長段階に合わせた診療をしていきます。
名古屋市立大学病院から招聘する専門医の診療も行っています。
神経疾患
けいれん、発達の遅れ、頭痛などに対する診療を行っています。
必要に応じ脳波や頭部CT、MRI等の検査を行ったうえで治療を行います。検査のために眠る薬を必要とする場合は日帰り入院で行う場合があります。
発達の遅れや麻痺のある方については小児外来リハビリセンターでリハビリを行うことができます。
月に1回小児神経専門医による専門外来を設けています(一般外来で対応)。
腎・尿路疾患
学校健診でたんぱく尿、血尿、糖尿の指摘のあるお子さま、尿路感染症、夜尿症の診断・治療を行います。。
尿路感染症では、早期の診断・治療を行います。幼児期のお子さまの尿路感染症は、膀胱尿管逆流症や先天的な尿路奇形を伴うことがあり、検査を行い診断をします。尿路感染症を繰り返すこともあり、外来で定期的にフォローを継続します。
幼児期のお子さまの尿漏れや便漏れの相談、学童期の夜尿症の治療も行います。低学年の間は水分の取り方などの生活指導を中心とします。高学年になっても治らない場合は、夜尿症のタイプごとに薬物療法やアラーム療法を行います。
心理・発達障害
発達専門外来を設けて主にこどもの神経発達症の診療にあたっています。
神経発達症は病気ではなく、生来持っている発達凹凸のために生きづらくなってしまっている状態を指します。ASD(自閉症スペクトラム)、ADHD(注意欠陥多動症)、MR(知的発達症)、LD(学習障害)などさまざまな診断名があり、それぞれに持っている特性・凹凸が異なり、対応も変わってきます。
ことばが遅れる、友だちと遊べない、ルールが理解できない、他人の気持ちが分かりにくい、空気が読めない、こだわりが強い、感覚過敏がある、落ち着きや集中力ない、といった点が心配であれば、一度ご相談ください。
相談の結果に応じて、内服の処方や、書類の作成なども行っています。
必要な場合は、学校などとの連携も通して、お子様の育ちをサポートさせていただきます。
重症心身障害
重症心身障害のある子どもたちや、医療的なケアが必要な子どもたちが、健康的で子どもらしく過ごすことができるようにサポートします。
定期的に気管カニューレの交換、胃ろうボタンの交換などを行い、健康状態を確認し、成長と発達を見守ります。
成長によってサイズの変更や医療的ケアの見直しが必要になります。呼吸の状態を観察し、人工呼吸器や在宅酸素の調節を行います。
栄養の状態を観察し、必要時には小児外科と一緒に胃ろうの造設や管理を行いますが、少しでも口から食べられるようにリハビリを行ったり、食事の形態を栄養士や言語療法士と一緒に考えたりします。管理栄養士による訪問栄養指導も行っています。
発達の段階に合わせ、子供らしく生活できるように地域と連携しながらサポートします。
病院から初めて自宅に帰る場合には、訪問診療や訪問看護、訪問リハビリの支援を整えるお手伝いを行ったり、幼稚園、学校の先生への医療的ケアの指導を行ったりします。だいどう医療的ケア児センターや関連施設「にじいろのいえ」と連携し、地域とのつながりを大切にしています。
重心施設「にじいろのいえ」
大同病院・大同こども総合医療センターと連携する重症心身障害児者施設「にじいろのいえ」が、2022年12月に東海市でオープンしました。当院の小児科、NICU・GCUと連携し、医療的ケアが必要な子どもたちの支援を行なっています。
小児外科
当院には、日本小児外科学会認定小児外科専門医が常駐し、鼠径ヘルニア、陰嚢水腫、臍ヘルニア、便秘、急性虫垂炎、停留・遊走精巣、腸重積など比較的よくみられる疾患から非常に稀な疾患まで、幅広く対応し、小児科や外科と連携して診断・治療しています。
成人同様、小児外科分野でも内視鏡(腹腔鏡・胸腔鏡)手術を中心に行っています。傷が小さく目立ちにくく、身体への負担が少ない内視鏡手術は、これから成長していく小児にこそ必要であると考えています。